その夜、皆は食事をしていた
誰も一言も喋らないで・・・・・

「かごめ、いつ帰るのじゃ?」
七宝の一言にみんなゴクリと息を飲んだ
「明日・・・・明日帰ろうと思うの。本当は明後日帰ろうと思っていたんだけど・・・・・」
「そうか・・・・・」
犬夜叉はそう一言を言い残し食事中なのに外へ出てってしまった

「かごめ様、後を追わなくていいんですか?」
「・・・・・いいの・・・・」
「でも・・・・犬夜叉が一番苦しいんじゃないかなあ・・・・」
「いいの珊瑚ちゃん・・・犬夜叉は桔梗を選んだのだもの。今更私の出る幕じゃないでしょ?」
かごめは精一杯の笑顔を弥勒達に見せた
その笑顔は、悲しさの笑顔でいっぱいだった・・・・・

食べ終わって・・・
食器を川で洗っているかごめを見て、弥勒は
「かごめ様、ひょっとして、私たちの話を聞いていたのではないか?」
「えっ・・・・?」
「きっとそうであろう・・・」
後ろから聞こえた声に振り向いた弥勒と珊瑚の目の前にいたのは
寝ていたはずの楓だった
「かごめと犬夜叉をそっとしといてやろう・・・」
「そうですね。我々はもう寝ましょう・・・」
「うん、そうだね・・・・」
珊瑚は悲しそうに食器を洗っているかごめを見ていた

「ふう、やっと終った、終った」
かごめは食器を手にして楓の小屋へ歩いていった 
「あれ、皆、寝てるのかあ・・・・」
そっと食器を置いて、かごめはまた外へと歩き出した

思い出の場所へと・・・・


そのころ犬夜叉は一人木に上って月を見ていた
(なんで、かごめ帰るんだ?俺、お前に何かしたか・・・?)
犬夜叉の心の中は二つの選択があった
かごめを選ぶか・・・・・・・桔梗と共に逝くか・・・・・・・・・


かごめは思い出の御神木についた
(ここで犬夜叉と出合ったんだよね・・・・・・)
かごめは御神木の下にある太い枝に腰を降ろした
(あ~あ、今日でこの時代ともおさらばか・・・・)
「これで、これでいいんだよね・・・・・?」
かごめは声を殺して一人泣いていた・・・・

犬夜叉は御神木の近くにある骨食いの井戸へと向かっていた
するとかごめの匂いがした
(かごめの匂いだ・・・・・)
その匂いをたどっていくと、

そこには、涙を流しながら眠っている、一人の少女がいた・・・・・



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